「連勝の倍プッシュ」であるパーレー法は「攻めの戦略」ではあるのだが、それはもはやオンカジの戦略というより「ギャンブラーの生きざま」としか言いようがない無謀なものでもあった。
そこで、パーレー法というおよそシステムベッティングとはいえないような「ギャンブラーの生きざま」に、ある程度のシステムを付加して「生きざまの戦略化」をする必要が出てきたのだろう、と想像される。
「パーレー法」という戦略以前の賭け方=生きざまに「システム」を追加したシステムベッティングこそが「31システム」である。
しかし、31システムは「連勝」を前提としているという点において「パーレー法の進化版」と考えられがちなのだが、実際は「連勝」を前提としながらも「損失の最高額を想定して賭けてリスクを軽減すること」を目的としているため、パーレー法とは似て非なるものと考えたほうがいいだろう。
今回はパーレー法の進化版ともいわれる31システムの戦略としての特徴を見ていきながら、果たして31システムが本当にオンカジにおいて「パーレー法の進化版」といえる攻めの戦略なのかどうかなどを考えていきたい。
31という数字を9分割して2連勝を目指すシステム
31システムという戦略は「31」という数字を9分割(合計が31になるように分割)し、その分割された数字の表に応じたシステムで賭け金を設定し「2連勝」で利益を獲得するという戦略である。
オンカジにおける多くの戦略がそうであるように、31システムもルーレットの赤黒やバカラなどの「勝率5割/配当2倍」のゲームでしか基本的には採用することができず、幅は狭い。
31システムにおける「31の9分割」は以下のとおりである。確認は不要であるが、これらの9分割の数字を改めて合計すると「31」になることは言うまでもない。
- 1
- 1
- 1
- 2
- 2
- 4
- 4
- 8
- 8
31システムは、この9分割された数字に従って賭け金を設定していき「2連勝」を目指す戦略なのだが、「賭け金の変動」の方向性が勝利と敗北によって決定されるため、9分割した数字にはもう一つの「表」が必要となる。
その表は以下になる。
A | 1(A-1) | 1(A-2) | 1(A-3) |
B | 2(B-1) | 2(B-2) | – |
C | 4(C-1) | 4(C-2) | – |
D | 8(D-1) | 8(D-2) | – |
31システムは賭けに勝利した場合は縦軸の下に移動し、賭けに負けた場合は横軸の右側に移動するシステムベッティングとなっている。
最初の賭け「1ドル(A-1)」に勝利した場合は「B-1」に移動し、次回の賭け額は「2ドル」になる。敗北した場合は「A-2」に移動し「1ドル」をベットする。
31システムは「2連勝する」か「負けてD-2まで到達する」という「二つの終わり方」がある。いずれかの「終わり」に到達したら、もう一度「A-1」というスタート地点に戻り、再び2連勝を目指すことを繰り返すのが31システムである。
「勝敗」が交互に起こっていて「2連勝」にならなかった場合は、横軸と縦軸の移動を繰り返しながら「D-2」に到達するまではシステムベッティングを続けていく、というのが31システムの流れである。
「A-1→B-1での2連勝」が戦略終了の最短ルートであり、「9連敗」の場合は戦略の失敗、そして、連勝できずにダラダラたどりついた「C-2」で勝利し「D-1」に到達した場合が「2連勝かD-2エンドか」の「戦略成功かどうかの最終分岐点」ということになる。
どういう形であれ「2連勝」してスタート地点に戻れた場合には損失がなく、仮に9連敗したとしても最初に想定していた「31」以上の軍資金の損失が出ないのが31システムの特徴だ。
31システムは「スタート地点で1ドルを賭けること」を想定した場合は「31」が軍資金の限界となるが、軍資金の限界は「31の倍数」でプレイヤーが決定し、変動させることが可能である。
「62」を9分割した場合は「2ドルスタート」、「93」の場合は「3ドルスタート」というように、表に「倍数」をかけることで応用ができ、損失のリスクが増える分、2連勝が成功した場合により多くの配当が期待できるだろう。
31システムは攻めの戦略ではなく守りの戦略である
「最終的に31以上の損失を出さない」ことを前提として2連勝を目指して着実に利益を獲得していくことが31システムという戦略の本質であるため、これは「攻めの戦略」ではなく、ローリスクローリターン型の「守りの戦略」であるだろう。
要するに「2連勝」という観点からはパーレー法に似ているとされるが、どちらかというと、31システムは「軍資金管理に制限を設けること」に本質を持っているオンカジの戦略であるダランベール法の親戚と考えたほうが正しい。
パーレー法が「野生の勘だけで進行する賭け方」であったことと比べて、「システムでがんじがらめになっている賭け方」という点においても31システムはダランベール法やココモ法などの「保守戦略」の仲間であり、「パーレー法からギャンブラーとしての生きざまだけを抜いたもの」である。
そもそも「2連勝が達成した段階でスタート地点に戻る」というシステム自体が、「際限なく連勝だけを目指して粉砕すること」を目的としたチキンレース的な発想のパーレー法とは真逆の方向を向いていると言える。
戦略を採用したベットを終わらせるために「2連勝かD-2への到達」という「条件」があり、その条件を満たすまではシステムから絶対に逸脱できないところも、パーレー法とは根本的に違うと言わざるをえないだろう。
また、31システムは「パーレー法の闇の親戚」ともいえる「負けの倍プッシュ」であるマーチンゲール法とも違っていて「賭け金が際限なく増えていく」という危険な賭け方ではないため、「オンカジをもっとも保守的に楽しみたいタイプ」にこそ向いている戦略であるということができる。
31システムはオンカジに刺激を求めず、長期的に遊びつつ軍資金の減りを最小限におさえて、それでいて着実に利益も得ていきたい、というプレイヤーに最適な戦略である。
31システムという「システムでがんじがらめの戦略」から見えてくるのは、「オンカジでの賭けは楽しくなくてもいい」という徹底的な態度を貫ける人間だけが完成されたシステムベッティングに全身を任せることができるという、ある種の無機質な事実だろう。
実際に31システムを使ってオンカジで遊んでみた体感
実際に31システムを使ってオンカジで遊んでみた体感としては「軍資金が本当に予算以上には減らない」ということに尽きる。
俺個人は「家族関係からの逃避」でオンカジを遊んでいるだけであり、オンカジを「むなしい趣味」と割り切っている人間であるため、31システムという究極レベルのシステムベッティングとの相性がそもそも抜群である。
31システムで使用する軍資金の設定を最低価格の「31ドル」ではなく、たとえば「155ドル」と5倍に設定してみただけのことでも「ちょっとした冒険」をしたようなスリルを味わうことができた。
「勝っても負けてもなくなるのは155ドルだしな」と割り切ってベットするため、勝利にも敗北にも大きな喜びはなく、ただただ「基本の表」とにらめっこして位置を確認しながらのシステムベッティングが延々と繰り返されるだけである。
しかも、俺のこの「無欲さ」というか「不感症」にも似たプレイスタイルが功を奏したのか、基本の設定額を5倍にしたこの155ドルプレイのときは、なんと「B-1→C-1」の2連勝が発生したため、結果的にはプラス収支である。
31システムでは「9連敗」という結果になることの方が少なく「交互の勝敗でD-4」に行くことはあったものの「ストレートでのD-4到達の確率は2連勝の確率より少ないのでは?」という感覚があった。
俺自身の「家に帰る時間を引き延ばすためのオンカジ」「家族にバレないように制限する徹底的な軍資金管理」という基本コンセプト的にも31システムはかなり有効な手応えが残った。
戦略としての31システムのまとめ
- 31の倍数で軍資金の管理を行う保守的戦略
- やめどきがはっきりしているため軍資金が減らない
- システムにがんじがらめであるため楽しみはない
オンカジの戦略である31システムのまとめは以上である。
31システムは連勝という観点から攻めの戦略と考えられがちだが、その本質は極めて保守的である。
徹底的な軍資金管理と、システマティックな「やめどき」の条件が設定されていることで、オンカジでの損失は最小限におさえることができる。
31システムが徹底的な保守戦略であり、攻めの戦略ではない以上、莫大な利益はまったく期待できないが、当然ながら大負けもない。
「オンカジなんかに人生を賭けるのは馬鹿げている」と考えているプレイヤーであるならば、ぜひとも「ローリスク・ローリターン・ノー刺激」の3拍子が揃った31システムを採用してみるといいだろう。